by mccoy12345
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【技術点11/11 体力点11/15 運点8/10】
戻っている!俺の姿が、人間に戻っている!! 濃緑色だった足はもはや鱗に覆われていない。傷つきやすくて柔らかい肌色の、人間の足だ。鉤爪も消えた。床に飛び散った鏡の欠片には、目を丸くして驚いている見慣れた人間の顔が映っている。 俺は悟った。マランハの秘術は外科手術のようなものではなく、魔法による変身だ。魔法をかけた者がいなくなるとともに、俺にかけられていた魔法も消えてなくなったのだ! 月岩山地の苦い記憶が甦る。ザラダン・マーと、その配下である無数のトーキ--戦闘用グリフォンの特殊タイプ--が、空を覆いつくして次々と、俺の船であるガレーキープを攻撃してきたのだ。そう、まるで猛り狂う嵐のように・・・ トーキの背に騎乗しているブラッド・オークたちが射かける矢が雨あられと降り注ぎ、乗組員は次々と倒れていった。まさか天空に浮かぶこの船を襲撃する奴らがいるなど、まったく想像できなかった。俺は完全に不意を突かれ、やむなく降伏したのだった。 そして奴がやってきた。 ガレーキープに第一歩を踏み下ろす、ザラダン・マー! 俺はあの時、命ある限りこの妖術師に復讐してやると誓ったのだ。まさか自分がマランハ秘術の実験材料にされるとは知らず・・・ 伝声管からの声「ザラダン様?こちらキンメル・ボーンです。いかがいたしました?」 この部屋につながった伝声管から、奴の手下の一人が声で安否を尋ねてきた。首領の部屋で物音があったのを不審に思ったのか。だが、主人の許しなしではこの部屋に入れないので、仕方なく声だけで様子を探ってみた、というところか。 そして、ガレーキープの構造を熟知している俺は知っている。この伝声管はあまり精度が良くないのだ。俺の声でもザラダンの声でも、遠い向こうで聞こえているようになり、くぐもってしまう。 だから俺はゆっくりと余裕を装って、ザラダン・マーに成りすまして返答した。 俺「・・・いや、どうということもない」 伝声管からの声「甲板から侵入した怪物を現在捜索中です。その件については、また後で報告いたします」 俺「・・・頼む」 伝声管からの声「そろそろ指定地域の上空に到達します。ここからのご指示は?」 俺「・・・しばし、待て」 俺は再びガレーキープの船長になった。 知能の低いザラダン・マーの兵士たちは命令されることに慣れている。実態の見えない声だけで指令を下していくだけで、俺に盲目的に従うだろう。 こいつらを率いて地上に破壊を撒き散らし、世界の王者になることができるかもしれない。いやその逆に、邪悪の巣に乗り込んで混沌の亡者どもを一掃し、不世出の英雄として崇められることも不可能ではない。 どうしてやろうか・・・この船を・・・ガレーキープを・・・いや待てその前に・・・ いつまでも裸のままではいられないな。俺は衣装ダンスにかかっていた船長服を着込む。いろいろと今後やるべきことを考えながら、全ての装飾品を身に着けた。これは元々俺の衣装だ。これで俺はやっと人間らしい姿に戻れた。 そして、仕上げのカフスボタンを留めているところで、あっさり唐突に考えがまとまった。 俺「針路を真西に向けろ」 伝声管からの声「了解です、ザラダン様」 俺「やがてアランシアの陸地が途切れ、西の海に出ても、なおも真西に向かえ」 伝声管からの声「了解です、ザラダン様」 俺「我が次の命令を下すまで、ひたすら真西に進むのだ。以上」 伝声管からの声「了解です、ザラダン様・・・」 これでよし。俺は地図を見て確認する。うむ。 邪悪な怪物どもを満載した空飛ぶ帆船。俺が命令したとおり、この船はやがてアランシア大陸を離れ、西の海に飛び出していく。 果てのない航海の始まりだ。 そして広い洋上では食料と水の補給もままならず、乗組員である怪物どもはみな死に絶えてしまうにちがいない。頭が悪い怪物どものことだ。飢えれば共食いし始めるかもしれない。 しかしこの船の動力源は、魔法による半永久機関だ。乗組員がいなくても飛行能力は保持される。変針しないまま永久に前進し続けるのだ。 つまり、俺が出した最後の命令により・・・ ガレーキープは幽霊船となって天空の軌道をさまよい続ける。 ギ・・・ギィ・・・ ガレーキープが大きくきしみ、船首が西の方角に向かった。それでいい。この船は誰にも利用させない。どの勢力にも加わらないまま、永遠に空の彼方を進み続けるのがお似合いだ。 そして俺は? 俺は肘で舷窓のガラスをぶち破る。パリン!あっけなく割れた。 はるか下には赤茶けたトロール牙峠が見える。そうだな。西の海に出て飢えて死ぬ前に、今のうちに自分の責任をとるべきだ。ここでもまたあっさりと・・・ 俺はひらりと飛び降りた。 ザラダン・マーによって怪物となった俺は、たとえ知らぬこととはいえ、かけがえのない仲間を興奮して殺戮し、その肉をむさぼり食った。その罪と業はあまりにも深い。拭い去ることはできない。のうのうと生き続けることは、自分として許せない。 だから自ら命を絶つことにした。 運命がもたらした絶望に打ちひしがれ、報いを受けることに決めた。 ヒュオオオオオオオッ・・・!! 風を切って墜落していく俺の身体。頭上に見る見るうちに迫ってくる地面。 もう少しだ。あと1秒もすれば、俺のやわな頭は大地に激突し、脳漿を撒き散らして即死できる。それで全ての終わりだ。 ザラダン・マーを倒して俺の復讐は終わった。もうこの世で俺がいる意味は な に も な い 。 (馬鹿者が!全て終わった気でおるわ!そうはさせんぞ!!) 暗黒。 そして。 俺は・・・ * * * * * * * * * * * * * * * * * * 商人「ちょっと、おい、あんた!!」 誰だ?俺を助けるのは? 俺「う・・・あ・・・」 雨が降っていた。夏特有の驟雨。風が吹き付ける原野で。 目覚めさせられた。一人の、なんでもない人間の隊商に。風体がさえない人のよさそうな中年男が、俺の頬を必死に叩いて目覚めさせていた。 商人「何だってこんなところで寝てるんだ?行き倒れっていう割には身体の血色がよさそうだ。いったいどうしたんだ?」 いや・・・それが・・・あれ・・・?? 思 出 な い せ い。 俺は何で生きている? なぜこんなところで寝ていて、商人にたたき起こされている? ここで目覚める前、俺はどこで何をしていた?どんな奴だったんだ? まったく思い出せない。記憶がない!俺は誰だ?誰だったんだ!! (ふぉふぉ・・・忘れたほうが良いこともあるが・・・人並みな過去でも授けてやるか) 商人「あんたの名前は何だ?名前だよ、な・ま・え!」 (お前は今や新しい心を与えられた。存分に生き抜くがよい) ピカッ!雷鳴がとどろく。 あの雷はどこかで見たことがある。いつかどこかで莫大な喪失感とともに・・・ だけど思い出せない。まあいいや。思い出せないほうがいいのかもしれない。 だんだん頭の中の混乱が収まってきた。ええっと俺はたしか、ファング出身の孤児だったはず。けちな盗みを繰り返してこんなところまで流れてきて・・・ 名前か?名前、ねえ・・・適当に・・・。 俺は今見た稲妻を網膜にやきつけ、その印象そのままに、答えた。 (ピカッ!) (ゴロゴロゴロ) 商人「はあぁん、ブリッツっていうのか」 ブリッツ「ん、まあ・・・そうだ・・・」 商人「あんたの身体つきと立派な船乗りの衣装、そしてベルトに刺した剣から見て、あんた相当の剣士だったんじゃないか?違うかい??」 ブリッツ「そう・・・なのかな・・・?自分じゃよく思い出せないんだけど」 商人「ま、いいさ、旅は道連れ世は情け、助けてやったのも何かの縁だ。どうせならこの隊商の護衛になってくれないか?俺は異教平原まで商売に行くんだ」 ブリッツ「異教平原?」 商人「ああ。チャリスからダークウッドの森の縁を抜けてな、そこまで行く。大きな山が目印さ。その山は不思議なことに頂が真っ赤でな、いや、火山というわけじゃないんだが。周りからは“火吹山”と呼ばれているらしい」 ブリッツ「なんだか知らんが・・・」 おもしろそうだ。ここで野垂れ死にするよりましだな。付き合うぜ。 こくりとうなづく俺の手に、商人はパン!パン!パァン!と、自分の手を合わせてハイタッチする。それからおもむろに「食いな」と、パンを差し出した。 商人「まずは食っとくんだ。死ぬのはいつでもできる」 ブリッツ「ああ・・・(一口かじって)・・・うまいっっ!」 商人「だろう?わしの運んでいる品に、目利き違いの物があるもんかね!」 ブリッツ(空を見上げて)「雨、やんだな」 商人「おう!あれを見ろ!!」 空にかかる七色の光。虹だ! 商人はにんまりとしてから、馬車馬に鞭をひとつくれてやった。 商人「いい塩梅だ。旅を再び始めるには、もってこいだ!」 * * * * * * * * * * * * * * * * * * (うほーぃ!やりおった!やりおった!!) (いちおう喜んでいいのじゃろうな。なんとか危ういところで世界の均衡は保たれた) (あいつ、ブリッツという名を担ったらしいぞ。あの甘党魔術師にも伝えとくかな) (スーススー、ところで歯抜けの老婆よ、おぬスが持っている物は?) (よじれ樫の森であやつが落っことした<真実の指輪>よ。まだ使えるわいヒヒヒ) (はっ!ケチケチしたこった!どこであいつに返してやる??) (そうだな、サソリ沼あたりで・・・) (スーススー、暗黒大陸クールに初めて渡リュときか?) (うむうむ、あそこへ行くには、わしらの手助けが、ちいとばかし必要じゃろう) (ま、そんとき、あいつはわしらのことなど、覚えておらんだろうがな・・・) * * * * * * * * * * * * * * * * * * 【ファンタジー特別編『モンスター誕生』はこれでおしまいです】 そして『ブリッツ-episode 0-』も終~了~ッ!! 達成点+1で体力点を1点増やし、彼はこの後『火吹山の魔法使い』へと向かうことになります。 そして紆余曲折あって・・・ 【なんでどうしていつの間にやらこうなった。次回は『仮面の破壊者』からの続きになりますよ。友を失い逃亡者になったブリッツ君が『ナイトメア・キャッスル』に挑戦です!!】
by mccoy12345
| 2009-02-03 23:53
| モンスター誕生
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