by mccoy12345
カテゴリ
甦る妖術使い ナイトメア キャッスル モンスター誕生 仮面の破壊者 ロボット コマンドゥ 迷宮探険競技 サムライの剣 深海の悪魔 電脳破壊作戦 サイボーグを倒せ 海賊船バンシー号 宇宙の連邦捜査官 恐怖の神殿 フリーウェイの戦士 宇宙の暗殺者 死神の首飾り 地獄の館 雪の魔女の洞窟 サソリ沼の迷路 トカゲ王の島 死のワナの地下迷宮 盗賊都市 さまよえる宇宙船 運命の森 バルサスの要塞 火吹山の魔法使い 親に戻る or 豪華版
以前の記事
2009年 09月 2009年 08月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12】
私が生を受けてから22宇宙年が経過したとき、地球は未曽有の危機に晒されていた-- 人類統合政体「銀河連邦」が遭遇した144番目の異星種族、アルカディア人。惑星アルカディオンを主星とする2本指の爬虫類型ヒューマノイドは、平和的な文明管理交渉を一方的に破棄し、強力な軍隊をもって地球へ電撃的に侵攻してきた。 奴らの主攻勢面は、惑星アルカディオンから地球に直結する航路上にある、ハルマリス星系、ラディクス星系、そしてトロポス星系。 これら3つの星系が次々と敵に占領される間、銀河連邦の政治家や軍人たちは、戦線の急激な変化に対応できないでいた。それほど奴らの軍事行動は統制がとれて速やかだったのだ。 そしてとうとう我々の主星である地球も陥落してしまった。銀河連邦は無条件降伏し、アルカディオン帝国の統治下に置かれることとなった。 私たち地球人は、アルカディア人に嘲られ、蔑まれ、いたぶられる、銀河の二等市民となってしまったのだ。 申し遅れたが、私の名はケイト・サワムラ。 誉れ高い武士(もののふ)であるサワムラ家の血を受け継ぐ者だ。 祖父はトラベラー号を指揮し他次元宇宙遭難から奇跡の生還を果たしたホクト・サワムラ。 父はヴァンダーベッケン事件で悪の首領科学者を拘束したハヤト・パウロ・サワムラ。 そして兄は、銀河連邦警察で麻薬犯罪組織を一斉検挙する功績を上げたマサト・サワムラ。 彼ら「宇宙(そら)の一族」の偉業に憧れた少女時代の私が、同じく星々を駆ける人生を追い求め、銀河連邦軍の幼年学校に入監するのは当然の摂理だった。 サワムラ家伝統のサムライ・スピリットを継承し、特に個人刀剣術に優秀な成績を収めた私は18歳で士官学校を卒業する。それはアルカディア帝国が地球への侵攻を始める2宇宙日前のことだった。 そして私は何の役目も果たすことなく、対アルカディア戦役は終了してしまった・・・ 無念の敗戦。銀河連邦降伏から4年。 私はアルカディア帝国の支配下に置かれた地球で、とある天文研究組織に務めている。 SAROS(Search And Research Of Space) それが私の職場だ。表向きは惑星植民計画を司る民間研究組織。だがその裏側は、あらゆる手段を尽くして帝国支配を打倒するための、地球人によるレジスタンス組織である。 軍籍を自ら抹消した私は、ここでたゆまぬ訓練を継続し、優秀な秘密工作員となった。アルカディオン帝国を打倒する、来るべき日のために、私のレーザー剣は日々唸りを上げて訓練標的を破壊しつづけている。 そんなある日、一人の男がSAROSに来訪してくる・・・ マサト「ケイト!こっちだ!!」 ケイト「兄上もお元気そうで」 マサト「“アニウエ”ってのは、やめてくれないか・・・」 ケイト「申し訳ありません」(ぺこり、と、頭を下げる) ここはSAROSの来客ロビー。やってきた客人というのは、私の兄マサト・サワムラだった。 地球陥落直前の任官パーティ以来、久しぶりに会った彼は、少し痩せてサングラスをかけていた。頬に刻まれた大きな傷跡が、銀河連邦解体後の境遇がハードであったことを伺わせる。 かつては銀河連邦警察(GUP)で敏腕麻薬捜査官として活躍していた彼は、今でも--トカゲどもに雇われて(本人談)--帝国治安部に所属し、いまだ星々を駆け廻っている。アルカディオン帝国の支配下にあっても、旧銀河連邦星系を統括する警察組織は必要と為政者側に見なされたからだ。 「お土産だよ、かわいいキティ」兄は1冊の分厚いレポートを渡す。 「キ・・・キティっていう言い方こそ、やめてもらえませんか!」私は子供の頃、本当に嫌だった自分の愛称に眉根を寄せつつ、それを受け取った。 そして驚く。 それは地球降伏後、彼が行ってきた抵抗活動の集大成だったからだ。 表面上は、兄マサトは帝国治安部に所属するアルカディア協力者だ。「侵略者の手先!」「裏切り者!」と同胞の地球人たちに罵られ、唾を吐きかけられながら、地道に情報収集してきた調査レポートが、今、ここにある。 私は湧き上がる興奮を抑えてページをめくった。 「アルカディオン帝国の強大たるゆえん。 なぜ我ら地球人はいとも易々と敗れ去ったのか?」 その秘密の鍵は、アルカディア各人の脳に埋め込まれた情動感知機にある。これによって主星アルカディオンに存在する彼らの女王コンピュータからの指令を受信し、奴らトカゲ人どもは、ただちに情動感応(エンパシー)体制に移れるのだ。 「要するに、ハチやアリと同じということさ」そう言って兄のマサトは肩をすくめ、コーヒーをすすった。 一人ひとりのアルカディア人は、巨大な単一の、帝国全体を冷酷に効率よくコントロールできる知性の、細胞なのだ。 ケイト「道理で統一軍事行動を、あれだけ速やかに行えたわけですね」 マサト「ああ、我々の敗北は必然だった。だがな・・・奴らの強みは逆に、弱みでもある」 マサト・サワムラはにやりと笑う。それは修羅場を潜り抜けた男の凄味。 心なしか、サングラスの奥で眼がキラッと光ったような気がした。 マサト「蜂の巣の弱点は、女王蜂があまりにも重要なことだ」 ケイト「と、いうと?」 マサト「すっかりコンピュータに頼りきっているということさ。トカゲ人どもは、もはや自分の意志というものを持っていない。中枢の女王コンピュータを破壊してしまえば、生けるゾンビーとなる」 ケイト「・・・!」 マサト「できるか?サムライ・ガール??」 瞬時に理解した。アルカディオン帝国によって銃の所持を禁止された我ら地球人にとって、最大の武器は刀剣だ。そして私は、刀剣戦闘術において、誰にも負けた覚えはない。 そう、私は人類最後のサムライであり、今現在この地球において、レーザー剣で戦える最強の人物なのだ。私は決然と顔を上げ、彼の射るような眼を正面から見据える。 ケイト「やらねば、なりますまい」 マサト(サングラスを外して)「そうか。ならば話を続けよう」 彼が数々の危難をはねのけ、命がけで得た情報(そしてそれを私にリークすることもまた、命がけだ)によると・・・ 奴らの侵攻途上にあったトロポス、ラディクス、ハルマリスの各星系には、圧政に虐げられている地球人の地下抵抗組織が形成されている。その指導者達は最近になって、惑星アルカディオンの女王コンピュータルームに入るためのコード番号の断片を把握したらしい。 マサト「アルカディオン人は2本指の種族だ。2進数社会なんだ。奴らの女王コンピュータルームに侵入してそれを破壊するためには、2進数で9桁のコードが必要となる。そこまでは調べた」 ケイト「3つの星系それぞれで指導者に会い、そのコードをつなぎ合わせれば、いいのですね」 マサト「そう、そしてそのための手段だ。これをやろう」 マサトは私に1つの鍵と、セラミックカードを渡す。それは彼の愛船サクラ号のメインパネル操作キーと、星間商人証明パスだ。 我々地球人は惑星間の渡航を許されていない。だが、特別な認可を受けた星間商人に扮すれば、宇宙空間を航行することができる。彼が用意した偽装旅券は完ぺきなつくりだ。 マサト「サクラ号も、武装は外したがまだまだ現役だ。ワープ速度は地球でいちばん速いぞ」 ケイト「よいのですか?兄上にも必要な宇宙船では・・・」 兄はふっと笑った。 マサト「ここらで引退しようと思ってな。今まで娘の治療費を稼ぐため、トカゲどもに頭を下げ続けていた」 ケイト「サクラちゃんのために?」 マサト「ああ。病院から連絡が入った。その必要もなくなったんだ」 ケイト「兄上・・・」 マサト「このレポートが俺の最後の仕事だ。お前に託す」 兄の一人娘であり、私の姪サクラ・ウィリアムズは、アルカディア戦役において敵の大気圏外空襲で放射能被爆していたのだ。そして現在の衰退した地球の医療水準では、彼女を生かし続けることは至難の技だった。 私はカチン、とレーザー剣の鯉口を切る。それはサムライの誓いだ。 ケイト(鋭い声で)「兄上の無念、晴らします」 マサト(鋭く返す)「いや違う、お前は、お前のために戦え。これから先も生きるために」 ケイト(すっくと立ち上がる)「承知!」 そして私は大宇宙に飛び立つ。 【技術点11/11 体力点18/18 運点12/12】 SAVE:1
by mccoy12345
| 2007-10-18 00:58
| 電脳破壊作戦
|
ファン申請 |
||