by mccoy12345
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【技術点10/11 体力点10/18 運点10/12 装甲点-/-】
ジェニー「ご主人様、彼を・・・殺すのですか?」 ハヤト「まさか!」 いくらベルカさんの仇で憎さ百倍とはいえ、その罪は生きて償え。ほぼ永遠にな。 自分は電子手錠を取り出し、ぐったりと伸びている彼の手首にはめた。そして上半身に拘束具を被せ、さらに舌を噛み切らないよう、発声可能型の猿轡もかませる。 そして、奴が脱出に使おうとしていた小型宇宙艇に乗り込んだ。 うん、やはり。<ヴァンダーベッケン>はもともと地球連邦軍の巨大モニター艦だった。だからここにある宇宙艇も、地球連邦軍使用の単純なものだ。この操縦系なら自分でも動かせる! もうここに用はない。 自分は格納庫の扉を開け、サイラスを連れて<ヴァンダーベッケン>から脱出した。黒々と広がる大宇宙。久しぶりに見た惑星オドの太陽。こころなしか、自分の晴れ晴れとした気持ちに比例して、煌々と鮮やかな太陽風を発しているようにも見える。 自分は通信チャンネルを呼び出した。交信対象は<ヴァンダーベッケン>のテロリストどもに対処すべくオド星域に緊急配備された海兵隊強襲艦「アンツィオ」だ。あらかじめ定めていたコードネームで発信する。 ハヤト「アロー、アロー、こちらゴンチョン、リザードキング、聞こえますか、どうぞ?」 通信士「!!!・・・こちらリザードキング・・・おめでとう・・・」 通信士は突然の受信に驚いていた。まさか悪の総本山から生還できるとは思っていなかったのだろう。 だが、自分は任務をやり遂げた。サイラスの拘束に成功したのだ。 やがて、自分を収容してくれる友軍の宇宙船が見えてくる。あれが強襲艦「アンツィオ」だ。中には実力行使に踏み切るべく、エンドルフィンが流れっぱなしの宇宙海兵隊員300名がぎっしり収容されている。 ハヤト「ゴンチョンは寄生に成功。繰り返す、ゴンチョンは寄生に成功」 通信士「オーライ、ゴンチョン。ご苦労だった。あとはリザードキングに任せてくれ。まずはブラックライオンどもの出番だ」 ぷしゅ・・・ぷしゅ・・・ぷしゅ・・・ 自分の成功報告をきっかけとして、強襲艦から光点が打ち出されるのを自分は見届ける。自分たちの符丁であるブラックライオン、すなわち宇宙海兵隊の機動歩兵が<ヴァンダーベッケン>目がけて射出されているのだ。彼らの任務は突破口を開き、テロリストどもの残党を掃討すること。主人であるサイラス教授の天才頭脳がなくなった今、それはたやすく達成されるだろう。 やがて<ヴァンダーベッケン>のあちこちで爆発光が打ち上がる。海兵隊の仕事は迅速だ。もっとも海兵隊の通信を傍受するに、自分が遭遇した士気が弛みきっていた警備兵どもは、続々と降伏しているようだ。サイラスの睨みがなくなった今、完全に奴らは烏合の衆と化している。 「ぐ・・・む・・・」後ろでサイラス教授が気絶から目覚める。自分は皮肉を利かせて操縦している小型宇宙艇を<ヴァンダーベッケン>が望めるようにフライパスさせ、彼の帝国が崩壊する様を見せつけてやった。 ハヤト「独裁国家の崩壊だ。サイラス、気分はどうだい?」 サイラス「い、いいわけがなかろう・・・」 ハヤト「貴方には黙秘権が与えられている。もっとも、黙秘権があったとしても、執行刑に猶予がつくとは思えんがね」 サイラスはむすっとして自分のからかいに答えない。その代わり、インシグニアが刻まれた、自分の官給品ヘルメットに目をつける。 サイラス「黒い稲妻・・・君は中央情報局か・・・」 ハヤト「ああそうだ。」 サイラス「ふ・・・ふふふ・・・こんな若造に・・・老いたな私も・・・」 ハヤト(ちょっとムッとして)「サワムラ家に若造はいない」 サイラス「・・・ほう?」 ハヤト「ただ、誇りを重んじるサムライがいるだけだ」 サイラス「つまりは・・・誰よりも先に見よ、か」 ハヤト「そう、誰よりも先に聞け」 サイラス「誰よりも先に知れ」 ハヤト「誰よりも先に・・・死ね」 ・・・ ・・・ ・・・ それが彼と言葉を交わした最後で、後はお互い、終始無言だった。 悪の科学者サイラスは強襲艦「アンツィオ」内でしかるべき当局筋に引き渡され、保安裁判機構によるスピード審理で懲役1,536年(概算)の刑が確定し、星間刑務所に移送された。<ヴァンダーベッケン>に巣食っていたテロリストの残党もまとめて送られた。 無力化した<ヴァンダーベッケン>は再び地球連邦軍の所有となり、モニター艦「ミチノク」として復帰した。しかし3宇宙年後に謎の爆沈を遂げる。操縦系を司るパイロット・ロボットに潜伏型電子ウィルスが感染していたらしい、という噂もあった。だが今となっては旧<ヴァンダーベッケン>は宇宙の塵と化してしまい・・・真相は不明だ。 父と母の元部下、バウンティハンターのミス・ベルカ・ロバヤニの亡骸は丁重に引き取られ、サワムラ家の墓所に安置されることになった。彼女の葬儀には久しぶりに偵察艦「トラベラー」の面々も集った。自分も列席したのだが「あなたが見つけてくれたのが、彼女にとってせめてもの救いね・・・」と、母ソフィが寂しげにつぶやいたのが、今でも印象に残っている。 さて・・・自分はこの任務成功で特別昇進を果たし、大尉となった。 さらに言えば、危険に比して雀の涙ほどであった特別任務手当も支給されたのだが、それについてはウェイクマン社製XJ-9型アンドロイド“ジェニー”の胴体購入資金に充ててしまい、結局ほとんど残らなかった。 まあ、彼女はその後も長年に渡り、自分の諸事雑務を片付けてくれたので、それはそれでよかったのだが・・・「尉官待遇の若造のくせに秘書型アンドロイドだと?」と、隠居していた父ホクトにずいぶんからかわれた。 自分のその後のキャリアは、その後も様々な命のやり取りを繰り返しつつ、中央情報局での勤務を3期勤め上げる。その後は外惑星艦隊司令部の参謀となり・・・最終階級は准将だった。 私生活面では、外交官を勤めるレムリア人の妻を娶り、3人の子供が生まれた。留守がちな自分と妻に代わって育児の面倒を見てくれたのは、召使アンドロイドのジェニーだ。長男マサト、次女ケイト、三男リュートともども、適性を伸ばしてくれる立派な英才教育を施してくれたので、本当に感謝している。 自分が職務に精励しているときも、大宇宙における人類の版図は拡大し続けた。やがて人類統合政体である地球連邦は「銀河連邦」(Galaxy Union)と、ついにその呼び名を変える。 だが、人々の営みは変わらない。 親は子を産み、育て、そして子供は親の元を巣立ち・・・ そうしたように、自分の子供たちも、それぞれ大宇宙に自分の居場所を見つけるため、様々な方面へと羽ばたいていく。 正義感の強い長男のマサト・サワムラは、銀河警察の道に進んで連邦麻薬捜査官となった。ここ近年、爆発的に蔓延し始めた不法幻覚剤セイトフィル-Dの密売組織を撲滅するため、命を賭けて心血を注ぐことになる。 次女のケイト・サワムラは、ジェニーが自慢げに話す<ヴァンダーベッケン>での冒険談をいちばん熱心に聞いていた。そしてサワムラ家伝統の軍隊勤めを選び、しかも自分と同じ情報将校になった!その後彼女は、対アルカディア抵抗戦争において、ある重要な役割を帯びる。 三男のリュート・サワムラは、惑星タロスで開拓農民となった。昔からおっとりしていて暢気な末っ子だった彼らしい選択だ。恐竜牧場の経営に携わり、巨大ロボットを動かしながら厳しい自然と向き合っている。 彼らの「宇宙(そら)の一族」の物語は、またどこかで語る機会があることだろう。 【『宇宙の連邦捜査官』に続く】 【でもその前に、次回は特別編。『フリーウェイの戦士』がスタートです!】
by mccoy12345
| 2007-01-17 23:03
| 宇宙の暗殺者
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