by mccoy12345
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【技術点9/12 体力点20/20 運点10/10 恐怖点0/10】
<1984年9月29日 21時17分 イギリス ミングルフォード近郊> 暗い嵐の夜だった。 僕はフロントガラスに激しく当たる雨の中、ヘッドライトに照らされた前方の道を必死に見ながら、車を操っていた。路面はデコボコ道。少しハンドルを切りそこなえば、その時点で大事故だ。どう見てもこれが目的地までの正しい道とは思えない。 「くそ!」思わず罵りの言葉が口に出る。おそらく二番めの曲がり角を左だったんだ。あるいは右だったのかも。しかし過去のことはどうでもよい。 問題は、今日中に「カリテール・レンタカー・ショップ」に到着しないと、めちゃくちゃな遅延料金を払うはめになる、ということだ。 僕の名はアラン・スコット。25歳。少しトウの入った大学1年生。父はウェールズの炭鉱夫上がりで、全うに貧乏の家系。 18歳から24歳まで海軍に所属していたが、除隊してそれなりに一時金も出たので一念発起、なんとか大学に入学して、前々からやりたかった歴史考古学の研究を始めようと思った。中世イングランドとケルト文化の相関とか、まあ、そんなもんだ。 そして今日は新入生歓迎パーティに出て、その帰り。同級生の良家子女の方々に(ほとんどが1960年代生まれ!)に合わせようと、背伸びして礼服を着込み、レンタカー屋で高級車のトライアンフを借りてはみたが・・・ああそうさ、非常に後悔している。 労働者生まれ--しかも軍隊経由!--の僕が、彼ら坊ちゃん嬢ちゃんたちと話す話題なんて限られている。全英ポロ協会の定めた国際新規格ルールなんて、どう論評できる? 「その体、鍛えていたのかい?軍隊で?そりゃあすごい!」なんて僕をスカッシュサークルに誘う先輩にしたって、自分より年下のそばかす野郎だ。「誘わないと、自分がケチな奴に見られる」から、社交辞令で上すべりの言葉を交わしてくる。 なんだ、大学って、こんなところか。幻滅して早めに退散してきたものの・・・ まさかこんな嵐に巻き込まれ、しかも、道に迷うとは!!! ついてない・・・本当についてない・・・。 僕はそう一人ごとを呟きながら、ポケットに入れていたタバコを取り出そうとする。そのとき! 危ない!! 突然、ヘッドライトに人間の姿が浮かび上がる。僕は必死にハンドルを左に切り、借りたトライアンフは車道を外れ、ガタガタと揺れて、荒れた側道を乗り越え・・・ドシン! 溝に落ちた・・・僕に怪我はなかったものの・・・ やっちまった!人身事故を起こしたにちがいない。入学1週間で謹慎、いや除籍処分を受けてしまうのか?ああ! 天を仰いだ僕は車を降りる。轢いた相手がまだ生きていることを祈りながら。だが、雨の中でずぶ濡れ泥だらけになり、僕は呆然と立ち尽くす。 死体はいくら捜しても見つからなかった。 本当に誰かを轢いたのか?目の錯覚では??? いや、そんなはずはない。衝突寸前のことはしっかり覚えている。ヘッドライトに照らされた、恐怖に怯えた白髪の老人の顔。あの苦痛に歪んだ表情は、幻覚だとでもいうのか? 寒気がする。 僕は車内に逃げ戻り、トライアンフを再始動させようと、イグニッションキーを回す。スターターは咳き込むような音を立て、しばらく唸ってから・・・止まった。 まるで命を吹き込むかのようにハンドルを何度も揺さぶる。だが、溝に落ちた衝撃でエンジンは死んだままだ。はっきりしていることは、今夜はもう、このトライアンフはここから動かせないということ。 どうしようもない状況だった。 いちばん近い町のミングルフォードに自動車修理屋はあったが、通り過ぎてここまで30kmは走ってきている。 それに「カリテール・レンタカー・ショップ」!!何とか電話で事情を話して、遅延料金を割り引いてもらえるように交渉しないと。だが近くに公衆電話も・・・ありそうもない(1984年に携帯電話など存在しない)。 そのときだ。 まるで僕の絶望に応えるように、遠くに灯がともった。 何たる幸運!すぐ近くに家があったのだ! 僕はもう一度車の外に出る。建物の位置はちょっと前、左手に自動車道が曲がりながら、大きな館へと続いている。ずぶ濡れにはなるものの、5分ほど歩けば、そこにたどり着けるだろう。 他に修理屋を呼び出せる手段はない。それに、家の中の人が親切ならば、服も乾かしてくれるかもしれない。 やはり・・・あそこに行かなくては・・・。 僕はレンタカーのトライアンフをここに置いたまま、襟を立てて館へと向かいだした。 稲妻が時おり光って辺りを照らすものの、僕は強い雨に負けて下を向いていたため、不吉な光景をいくつか見逃してしまった。 館は古く--相当に古く--廃屋寸前だということ。窓の明かりは電灯ではなく、おそらくランプであったということ。そして・・・館には電線が引かれていなかった、ということ・・・。 それらに気づいてさえいれば、僕はたぶん引き返していたに違いない。 だが、もう手遅れだ。 僕にとって一生忘れることのできない夜が開こうとしていた。 【技術点9/12 体力点20/20 運点10/10 恐怖点0/10】 SAVE:1
by mccoy12345
| 2006-09-29 22:17
| 地獄の館
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