by mccoy12345
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【技術点11/11 体力点18/18 運点11/12】
私はブラックアウトから目を覚ました。 体が丈夫なため、すでにいち早く意識を回復していたマイヤー保安官に、他の乗組員も異常ないか点呼を取るよう命令する。すぐに彼から報告が上がってきた。全員無事のようでほっとする。 だが、ここはどこだ? 新しい次元界か、それとも地球の存在する、私の知っている宇宙なのか・・・。私は高いGでフリーズしていたスクリーンのスイッチを再起動した。心臓の動悸がはっきりと聞こえる。くそ、落ち着け、落ち着くんだ、ホクト・サワムラ! スクリーンに映された船外の光景は、満天の星空だ。我々は少なくとも宇宙空間にいる。 突然、いちばん視力のよいベルカ警備員が「お、おお!おおおおお!」と感極まった叫び声を上げた。 ホクト「どうした、ベルカ!」 ベルカ「キャプテン・ホクト、私達、私達は・・・」 ホクト「ベルカ、顔を覆っていてはわからない」 ベルカ「あれ、あれを・・・見て・・・」 ベルカが震える指で船外カメラを操作する。やがてその画像が拡大された。長距離スキャナーで辛うじて捉えた人工の構造物は・・・!!! マイヤー「艦長!前方から信号です。準ステーション・アインシュタインと名乗っています!」 紛れもなく地球連邦の宇宙ステーションだ! グェン「うまくいったんですよ!」 Dr.セルゲイ「ハラショー!!(Great!!)」 ベルカ「帰れた。帰れたよ・・・」 ソフィー「見て!アインシュタインの向こうに、青い惑星が。なんて綺麗な・・・美しい・・・」 ソフィーが示したのは、この航海で何度夢見ただろう。地球そのものの姿だ。 情けないことに、私は歓喜の瞬間、ヘナヘナと艦長席で固まってしまい、椅子から立てないでいた。いろんな出来事が頭をよぎる。ガンジグ帝国とのファーストコンタクトに始まり、戦場の幻影、惑星キュールマターの強制収容所、雨の惑星クリバ、星間有毒ガスによるパウロ技官の殉職、時空の狭間の迷路、火山惑星の恐怖、コロシアムでの対ロボット戦闘、高磁力の惑星で酸欠しかかったこと、大人な子供のラフ少年・・・ 長かった。今回の航海は、とてつもなく長く困難な旅だった・・・ と、感傷に浸る間もなく、涙を浮かべたソフィーが私の手をとって立ち上がらせてくれた。そして私と彼女は任務完了のハイタッチをかわし合う。 かくて地球連邦軍偵察艦トラベラー号は、地球に帰還することに成功した。 地球連邦軍による入念な大気圏外調査の後、ケープ・カナベラル宇宙港に着陸した我々を待っていたのは、報道記者たちによるフラッシュの嵐だった。 すでに偵察艦トラベラー号の遭難事故は全世界の関心事であり、マスコミは記事をことさら英雄的に書きたて(ワープエンジンの故障を陰謀仕立てにすることも忘れずに)今回の航海について雨後の筍のようにルポルタージュや伝記を出版した。果ては映画まで作られて全世界で公開されることになってしまった(万事抜け目ないグェン警備員が本人役で出演していたのには、大いに驚かされた)。 ここから約1年間くらいは、トラベラー号で見知らぬ宇宙空間を漂流していた方が、まだマシかと思えるほどの多忙さだった。 だが、それもひと段落して、人々も私の顔に飽きてきた頃だ。 ここまで読んでくれた賢明な読者諸氏にはもうおわかりだろう。私は、お互いに深く知り合ったソフィー・ルクレール嬢に求婚し、優秀な医務官はこれに同意した。式はつつましやかに執り行われ、トラベラー号の全乗員を招待したので、彼らから手厚い祝福を受けた。そのときの写真は今でも居間に飾ってある。 その後もいろいろあったが、おおむね、私のチームは無難に任務をこなしていき、やがてそれぞれの道に進むことになった。 Dr.セルゲイ・ドミトリエフ科学官は地球科学大学の総長になり、ゲオルグ・マイヤー保安官は装甲打撃師団の師団長に出世し、グェン・リン・ヤン警備員は民間に下って性格俳優として名を馳せ、ベルカ・ロバヤニ警備員は賞金稼ぎとなって星々を渡り歩いている。 そしてパウロ・ゴンザレス技官の墓はメキシコにあり、我々は休暇を調整しつつ年1回、その場所に集まり、あの困難に満ちた航海の昔話をすることにしている。 私、ホクト・サワムラもソフィーと幸福な家庭を築きつつ、無事、五体満足に45歳の退役を迎えることができた。 私と愛する妻との間に生まれた、一人息子のハヤト・パウロ・サワムラは、今年で16歳となった。不肖な父親と同じ道を選び、来春から連邦軍士官学校に入ることが内定している。 「見てあの顔、あなたの若い頃にそっくり・・・」と、ソフィーは昔を懐かしむように彼のことを話す。多少無鉄砲なきらいはあるし、親の贔屓目もあるが、確かに素直で正義感の強い青年に育ったと思う。 彼の人生には、どんな冒険が待ち受けているのだろう? かくして「宇宙(そら)の一族」の物語は、まだまだ続いていくのである。 【『宇宙の暗殺者』へ続く】 【でもいったんファンタジー編に戻ります。次は『盗賊都市』です】
by mccoy12345
| 2006-03-08 00:15
| さまよえる宇宙船
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