by mccoy12345
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【技術点11/11 体力点18/18 運点11/12】
そうとなれば話は早い、とばかりに嬉々としてラフはいくつかの建物を通りすぎ、我々を天文台に案内した。複雑な天体望遠鏡を操作しているのは、やはり子供だ。彼らはよどみなくコンピュータのキーボードを叩き、数秒足らずで検索結果情報が示された。この宇宙と我々の宇宙が重なり合うのは、21恒星日とのことだ。 待ちに待っていたブラックホールの時間座標だ!これで位置座標と時間座標が入手できたので、地球に還れる目処が立ったことになる! 「さあ、今度は君たちの番だよ!」とラフがニコッと笑う。そして研究員を連れてくるから、ちょっとここで残っていてくれ、と言う。ここで一瞬だけではあるが、この場に我々だけとなった。 そのときすかさず、グェンとソフィーがひそひそ、と私につぶやく。 グェン「トラベラー号にいるDr.セルゲイに秘密連絡をしておきました。」 ホクト「・・・!!!」 グェン「ワープエンジンは我々を回収しだい、すぐに作動準備OKだそうです」 ソフィー「ですので今すぐ着陸ビームで収容されて、この星を離れましょう」 ホクト「ラフ君を置き去りにして?」 グェン「もちろん。そうすれば艦長は機密漏洩罪に問われません」 そして我々はブラックホール情報だけ持ち帰ることができる。正しい、グェンとソフィーの進言は、全く妥当だ。しかし・・・ ホクト「グェン・・・君は、純粋な子供を騙す大人を、尊敬できたか?」 グェン「いや、それは・・・」 ホクト「ソフィー、君は?」 ソフィー「でも、それじゃキャプテンが!」 ホクト「私は、地球人として恥ずべき行動はしたくないんだ。」 ひょっとしたら航海は失敗に終わり、我々は地球に戻れず、全員死滅するかもしれない。だが結果としてそうなったとしても、今まで訪れた星々には、我々の足跡は記録されている。それは地球人の代表としてファーストコンタクトをとった記録だ。だから悪し様に書かれたくはない。トラベラー号の誇り高いクルーの名を汚れた記述で残されたくはないんだ。それこそが、我々がこの大宇宙に存在した証なのだから。 そう私が主張すると、2人は押し黙ってしまった。 ホクト(照れくさそうに)「これは全く感情的で理性の欠片もない考えだ。自分でもわかっている」 ソフィー「なんて・・・なんて人・・・」 ホクト「だが、すまない。譲れないよ」 グェン「申し訳ありません。出すぎた真似をしてしまいました」 ホクト「今回は不問にする。だが、もうこれで、この議論はおしまいにしよう。ほら、ラフ君がやってきたぞ」 3人の子供からなる研究員を連れてきたラフは、まだ残っていた我々を見ると、ちょっと驚いた顔をした。 「逃げ去ると思っていましたか?」私は先手を読んでラフに皮肉を利かせたジョークを言う。「あいにく地球人は義理堅い方でしてね。特に大人は」 ラフはにやりと笑い返した。「テリアル人の子供並みにね・・・!」 そして私は異星人を連れてトラベラー号に帰還した。驚いたのは母船にいたDr.セルゲイ科学官である。まんまとテリアル人を出し抜き、上陸班員だけが乗り込んでくるとてっきり思っていたからだ。私は艦長権限で、テリアル人を地球連邦軍偵察艦トラベラー号に招待した旨、クルー全員に通達した。そして連邦軍の一員として、信頼に満ち、尊敬に値する態度をとるよう厳命する(前代未聞ではあるが、超法規的措置というやつだ)。 2時間ほど我々はトラベラー号の機関区を案内する。ラフは1つ1つの装置をチェックし、それが何の働きをするのか科学官に質問してきた。Dr.セルゲイは、ええい、こうなりゃヤケだ、といった面持ちで正直に答える。 大体の視察が終わったとき、ラフはこう結論付けた。「この船には・・・僕たちが参考にすべき部分はないね。」あっさりとそう言う。 これには意外だった。「それはおかしい!例えばワープドライブなど、地球人の科学は、ある程度そちらの星を上回っている部分もあるはずだ!」と、当初の企みを忘れて、Dr.セルゲイは憤然と言い返す(「おいおい、いいじゃないか得る物がないってんなら」と呆れ顔のグェン)。 研究班の子供技師は不満げな顔をしているものの、テリアル人の団体は、ラフの命令で今回の収集資料を全部その場で破り捨ててしまう。そして彼らは離艦を希望した。ラフは、ゆっくりと、言い含めるように私にこう告げた。 「いやあ、我々が吸収する技術は何もなかったよ、キャプテン・ホクト」 ・・・! そこで私は理解した。 にやっと、ラフが私に笑いかける。 ラフ「すまなかったね。君の立場が悪くならないよう、僕なりに考えたつもりだ」 ホクト「まったく、何の役にも立てませんでしたが・・・」 ラフ「いや、君たち地球人は、信頼するに足る人種だということがわかった」 ホクト「お褒めの言葉感謝します。貴星の発展を心より祈念します。どうにも頭の悪い大人たちですが、祈ることはできます」 ラフ「こちらこそ、航海の無事を祈ります。還れるといいね・・・地球に・・・」 こうして私とラフは友愛に満ちた握手を交わした。 テリアル人が地表にビーム着陸したのを確認してから、我々のトラベラー号もゆっくりとこの星の軌道を離れるのだった。 さあ、いよいよこの航海も終末に近づいている・・・。 【技術点11/11 体力点18/18 運点11/12】 SAVE:324
by mccoy12345
| 2006-03-06 00:35
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