by mccoy12345
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【技術点11/11 体力点18/18 運点11/12】
さあ、体調も十分回復した私は、ブリッジに戻り指揮をとることにする。もうなるようにしかならない。感情的に焦ることはやめて、どっしりと構えることにしよう。 周りの宇宙空間をスキャンすると、前方に灰緑色の惑星がある。数時間で到着できる距離なので、今度はその星までトラベラー号を飛ばすことにした。惑星に近づくと生命、それも知性体が存在しているようだ。 ファーストコンタクトを試みると、細く色白で、骨張った長い顔の異星人がスクリーンに映される。彼の名はラフと言い、ここはテリアル第6惑星という星だそうだ。「この星に着陸したいって?いいよ!じゃあ、座標を送るね!」まるで少年のような快活そうな声をしているラフの導きで、我々はビーム着陸を許可された。 今回の上陸班員は、私と、グェン警備員、そして続けざまで悪いが、ソフィー医務官だ。我々は一瞬のうちに指示された座標地点へ姿を現した。だがそこは地表上ではなく、広大な反重力プレートの上だった!かなり下の方の地面には工場らしきものがいくつかと、その周りを農地が囲んでいる。我々は空中に浮かんだ台の上にいるのだ! 我々を出迎えてくれたのは、ほっそりした3人のテリアル人と、その子供が2名。子供のうち1人が、私の手をつかみ「お兄ちゃん、こっちこっち!」と別の方向へ引っ張っていこうとする。 「こらこら、お兄さん達は、大事な話があるんだよー」とグェン警備員がやんわりと子供を諭して拒否しようとするが「あの大人達にわかるもんか!早く来なよ!」と、子供は頑として聞かない。さすがに困るグェン。「艦長、どうします・・・?」 そういえば何かの映画であったな。大人で悪人の陰謀を少年たちが突き止め、未然に大事故を防ぐストーリーだ。子供向けのよくできた話の映画であったが・・・。例えば、テリアル人の成人層が何かしらの罠を企んでいて、それを知らせようとしてるのかもしれない。 私は3人の大人の方に「大変恐縮ですが、あなた方のご子息のお誘いに、先に招かれたいと思います」と丁寧に言葉を送る。すると驚いたことに、大人たちはそれを止めようともせず、ただ老人のようにゆっくりとうなづくだけだった。 子供たちは我々をとある建物の中に引っ張り込む。そこには他の子供たちもいて、さながら少年探偵団のようだ。我々が入ってくると「異星人だ!」と興奮して騒ぐ。そのうちリーダー格の男の子がやってきた。その者は、先ほど我々と交信した、ラフだ! 「ええ!ボクがファーストコンタクトをとったのか!」驚いて素っ頓狂な声を上げるグェン警備員。無理もない、手先が器用な彼ですら、惑星間通信機器の修得には丸1年を要したというのに。 「ラフ君、えらいねー!」とソフィー医務官が現地人の信頼度を上げようと、保母さんのようにラフ少年の頭をなでてやる。 ところがラフは迷惑そうにそれを拒み「ボク、ボク、と子ども扱いするな!この星の外務大臣に対して失礼だぞ!」と感情を害するのだった。 彼が言うには、テリアル第6惑星は子供によって切り盛りされている。テリアル人は異常なまでの知性と持って誕生し、年をとるにしたがって大変な速さで老化現象が進むのだそうだ。だから誕生後すぐに高い社会的地位に就き、やがて成熟するにつれて、もっと若い子供にその地位を譲るらしい。 「まさかそんな人種が存在するなんて!」医務官として興味が刺激されたのか、小声で深くソフィーが唸った。 「なんてとこだよ、子供の言うことを聞く大人の星なんて、あべこべだ!」年長者を重んじるアジア系のグェンにも、この価値観が理解できないらしい。 「僕から見ればね、よぼよぼの老人が宇宙船なんか動かしている地球人の方が、よっぽど危なっかしく見えるけどね!」と、ラフがむっとして反論する。 テリアル人の特殊事情を知るわけがなかった私は、いや悪気はないのだ、と部下たちの非礼を詫びる。幸い、ラフは子供ゆえに思考が柔軟で、すぐに気分を切り替えて許してくれた。 我々のトラベラー号が宇宙空間を漂流している事情を説明すると、ラフは同情して耳を傾けてくれる。そして我々の宇宙へ戻るブラックホールを探す手伝いを引き受けてくれた(何だかんだ言って、ソフィー医務官が甘えさせてくれたことに、まんざらでもなかったようだ)。 「だけど条件があるよ」と、ラフはこの星を切り盛りする政治家の表情になって言う。「君たちの船に乗り込んで、武器装備や防衛装置の技術的説明を受けたい。我々の星にはないテクノロジーがあれば、それを吸収したいんだ」 ぐっ・・・私は言葉に詰まる。前に一度、ガンジグ帝国人にトラベラー号を内部公開したことはある。しかし今回のように、惑星指導者に至るようなの高位の人物を、方面軍司令部の許可なしに連邦軍艦船に乗り込ませることは、重大な軍規違反である機密漏洩罪にあたるのだ。 他の条件ではダメかと交渉するが、ラフもこの件については一歩も引かない。テリアル政府側にとっては、交渉が不首尾に終わっても何ら損をするところはないのだから、当然と言えば当然である。だが我々にとってみれば、ここで拒否したらブラックホール情報は得られない。 なかなかどうして大した政治家だ!交渉の勘所で大人である私の方が振り回されている! 少し時間をもらった後、私は決断を下して回答した。「わかりました。ラフ外務大臣の申し出を承諾いたします」 「艦長!」「キャプテン・ホクト!」ソフィーとグェンが相次いで驚きの声を上げる。機密漏洩罪は軍法会議ものだからだ。 「告発したければしたまえ。ソフィー、グェン。どっちみち別次元のテリアル第6惑星が、地球に攻め込む可能性はほぼ0%に等しい。とすれば、我々の持つテクノロジーを流出させることによる危険は見当たらないよ。」 そしてにこりと笑い、私はこう言葉を続けるのだった。 「私の任務は軍規を守ることじゃない。トラベラー号のクルー達を、無事に地球へ帰還させることだ」 【技術点11/11 体力点18/18 運点11/12】 SAVE:148
by mccoy12345
| 2006-03-05 23:27
| さまよえる宇宙船
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